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次世代に解を挑戦のプロット

PROJECT REPORTS 002

開発と実装の時間軸を近づけ、
脱炭素にスピード感を。(3/3)

全国16社の地域新電力会社と連携し、電力の地産地消と域内経済循環の促進に向け共創を開始

NR-Power Lab株式会社 代表取締役社長 中西 祐一 / 一般社団法人ローカルグッド創成支援機構 代表理事 大滝 精一

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今回、地域新電力16社が参画するこの共創のプロジェクトに期待することを教えてください。

ローカルグッド 大滝:現在、卸電力市場の価格変動が大きく、地域新電力にとっては安定した電源調達やリスクヘッジは一丁目一番地の課題です。また、効率よく地域の再エネ電源を地域で使いたいニーズもあり、VPPに関心を示す地域新電力は多いです。一方で、VPPシステム費等のコストがネックになっていますので、安価で使いやすいVPPシステムが待たれていると感じます。地産地消を実現し、地域新電力の経営安定化にも資する、ローカルにグッドなVPPシステムが開発・提供されることを期待しています。

 また、システムのみならず、地域新電力等の会員の皆様とのエネルギーマネジメント等に関する様々なノウハウの共有にも期待しています。ぜひ一緒にローカルにグッドな未来を創っていきましょう。

NR-Power Labとしての今後の展望を教えてください。

NR-Power Lab 中西:NR-Power Labでは現在開発を進めているVPPシステムを通して、既存の電力インフラと共存する形で、再エネを軸とした分散型電源が各地で増えていき、お互いにつながっていくという青写真を描いています。

 また当社が取り組んでいる電力デジタルサービスは、例えばブロックチェーン技術を活用した「再エネのトラッキングシステム」では、誰もが低価格で簡単に再エネを利用できる社会を、「J-クレジット創出※」は、再エネを起点とした域内の経済循環を支えるシステムの実現を目指しています。

【※J-クレジット創出 関連記事:埋もれた価値を見える化し“行動変容”へつなげるために。~環境価値をクレジット化し環境と経済を好循環させるスキームを構築~

 2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す自治体(ゼロカーボンシティー)は900以上となり、地域発の脱炭素の取り組みが加速しています。環境省が選定を進めている脱炭素先行地域では、地域新電力会社がキープレイヤーとして参画するケースが多数みられます。全国に100社近くある地域新電力は、再生可能エネルギー電源の開発・調達・供給を通した分散型電源の導入拡大による域内経済循環やレジリエンス強化を促す主役として、大いに期待されています。

 このように地域新電力会社とNR-Power Labは、再エネを軸とした「分散型エネルギーシステムの構築」と「域内経済循環」という共通の世界観を持っています。その実現に向け、今回の共創ではお互いが持つ異なる強み、具体的には地域新電力各社が蓄積した電力の地産地消のノウハウや顧客ニーズとNR-Power Labの技術力を組み合わせます。技術開発と社会実装の両輪を近づけ同時に回すことで、システムの精緻化だけではなく、さまざまな地域の事情に対応した細かなサービスが実現できると信じています。

 共創各社とは、来年4月より脱炭素先行地域などで再エネの地産地消の最大化を支えるVPPシステムの検証、再エネを起点とした域内経済循環を目指して、トラッキング技術を活用した電力デジタルサービスのトライアルなどに着手します。今回の共創パートナー各社のみなさまには、当社の理念や目指す方向性に賛同いただけたことに心より感謝しています。オープンイノベーションの手法で、みんなの知恵と強みを持ち寄り、再エネ拡大をさらにスピードアップできるようなコラボレーションができればと考えています。

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