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次世代に解を挑戦のプロット

PROJECT REPORTS 002

開発と実装の時間軸を近づけ、
脱炭素にスピード感を。(1/3)

全国16社の地域新電力会社と連携し、電力の地産地消と域内経済循環の促進に向け共創を開始

NR-Power Lab株式会社 代表取締役社長 中西 祐一 / 一般社団法人ローカルグッド創成支援機構 代表理事 大滝 精一

関連情報:【プレスリリース|2023.12.12】NR-Power Lab、全国16社の地域新電力会社と連携し、電力の地産地消と域内経済循環の促進に向け共創を開始 ~VPPシステムと電力デジタルサービスの精緻化を目指す~

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今回、地域新電力会社16社が、NR-Power Labの共創パートナーとして参画します。このプロジェクトの意図を教えてください。

NR-Power Lab 代表取締役社長 中西(以下、NR-Power Lab 中西):NR-Power Labのミッションは「VPP(仮想発電所=Virtual Power Plant)サービス」と「電力デジタルサービス」の事業化です。我々はこの二つのサービスを通して、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及における課題解決を行い、持続可能な社会の実現に貢献する企業を目指しています。

 今回、共創パートナーとして参画していただく地域新電力16社には、それぞれ当社が開発を進める「VPPサービス」と「電力デジタルサービス」を実フィールドで触っていただきます。開発中にサービスに対し、共創パートナーには両サービスを利用する目線で改善点やご要望をフィードバックしていただき、当社は全国各地域の事情に対応した細かなサービスの構築を目指します。当社がハブとなり、共創パートナーがお互いのアイデアを出し合いながら両サービスをブラッシュアップしていくイメージです。

 社名にLab(ラボ)と入っている通り、当社はビジネスモデルとそれを支える技術の開発を行うスタートアップ企業ですが、目的はあくまでも事業化です。開発したものは当然ながらビジネスの現場で1日目から使えることが大前提となります。また、スタートアップ企業ですので、大企業のような時間軸は与えられていません。当社が目指すマーケット自体が今まさに萌芽期を迎えるタイミングでもあり、不確実性が高く、スピード感がとても重要です。さらに我々より経験が豊富な電力大手各社もサービスの参入を目指しています。

 このため、挑戦者である我々は、長期計画のもと設計・開発・テスト・実装と順序立ててステップアップしていくのではなく、技術開発と社会実装の両輪の時間軸をできるだけ近づけ、双方を極力同時に有機的な補完関係を保ちながら高速で回す方法を模索してきました。開発結果に対し、市場・現場の声の反映をショートサイクルで繰り返し連続して積み上げ、早期にビジネスにつなげるアプローチです。

電力の地産地消と域内経済循環の促進を目指し、地域新電力会社16社と連携

 8月に発表した共創パートナー各社とのコラボレーション※で、技術開発は大いに加速しています。さらに今回の地域新電力16社との共創により、開発結果に対してユーザー目線での市場・現場のフィードバックが可能になります。共通のテーマにおいてNR-Power Labがハブとなり、全国16社が同時に共創することで、開発のフィードバックで重要なスピード・質・多様性・量の確保が全て可能になります。地理的に分散している全国地域新電力各社が、VPPシステムの導入トライアルや、電力デジタルサービスを活用した新しい価値の創出に当社と共にみんなで挑戦する機会になります。

【※コラボレーション 関連記事:共創で再エネ拡大の課題に具体策を。~世界初の分散型ID活用VPPシステムの構築を開始~

 また、ローカルグッド創成支援機構に、今回、アドバイザーとしてご参加いただきます。日本最大の地域新電力の団体であり、これまで全国の地域新電力への支援を続けてこられた知見から、さまざまなご指摘やご助言をいただきたいと思っています。

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