
カーボンニュートラルの、
真のソリューションパートナーを目指して。(1/3)
お客さまに伴走支援するエネルギーソリューションをスタート
NGK株式会社 大津 武嗣(執行役員 NV推進本部長、同本部CN事業開発担当), 岡田 浩一(NV推進本部 CN事業開発 エネルギーソリューション部長)
NGKグループは、2050年を見据えた中長期ビジョンのなかで、「カーボンニュートラル(CN)」と「デジタル社会(DS)」という2つの領域について、新事業の立ち上げを通して新しい価値を創出する取り組みを進めています。そのなかで、企業・自治体のカーボンニュートラルの取り組みを伴走支援するソリューションパートナーを目指した、エネルギーソリューション事業を立ち上げます。
NGK株式会社の大津氏・岡田氏に、エネルギーソリューション事業の概要と、NR-Power Labの事業成果を同事業でどのように活用していくのか、また今後の展望についてお話しいただきました。
【関連情報】:『NGKグループビジョン | 企業情報 | 日本ガイシ株式会社』
継続的に伴走支援できるソリューションパートナーの必要性
NGKグループのカーボンニュートラルへの取り組み、また新たに事業化するエネルギーソリューション事業についてお聞かせください。
NGK株式会社 執行役員 NV推進本部長、同本部CN事業開発担当 大津 武嗣(以下、大津):NGKグループは、2050年を見据えた中長期ビジョン「NGKグループビジョン Road to 2050」のなかで、社会課題の解決に直結する新たな事業を生み出していく方針を発表し、「カーボンニュートラル(CN)」と「デジタル社会(DS)」という2つの領域で、2030年に売上高1,000億円以上を目標とする「New Value 1000」(NV1000)を掲げました。
そのなかで、私たちのカーボンニュートラルについての考え方は、単にCO₂排出量を減らすというだけでなく、排出されたCO₂をいかに回収し、再利用しながら循環させていくかが重要だと捉えています。具体的には、CO₂を回収・分離し、資源として再利用することで、排出と吸収のバランスを取る。その一連のプロセスを「炭素循環のループ」として成立させることが大切です。このループ全体のそれぞれの工程に対して、さまざまな接点で技術的に貢献できるところが、当社のユニークなポジションだと思っています。
この炭素循環のループを成立させるためには、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の活用が不可欠です。CO₂を回収・分離し、再利用するプロセスは多くの電力を必要とします。その電力が化石燃料由来であれば、カーボンニュートラルは成立しにくいため、再エネを最大限活用することがこのループの基盤となります。そこで当社は、再エネを安定的に活用し使い切るためのエネルギーソリューション事業をスタートさせます。モノづくり企業の新たな挑戦として、単に製品を開発して提供するだけではなく、その製品をどのように使い、どのような価値を生み出すかまで含めて提供していくというトライアルです。
再エネは、発電量が天候や時間帯に左右され、安定的な活用が難しいという課題がありますが、当社はこれまで蓄電システム「NAS電池」事業を通じ、エネルギーを蓄え、必要なタイミングで電力を供給するという蓄電池制御の独自のノウハウを蓄積してきました。現在、NAS電池の製造は終了していますが、蓄電池制御によりエネルギーをマネジメントするという知見は私たちに蓄積されたノウハウ・強みでもあり、NR-Power Labの事業成果も引き継いで、エネルギーソリューション事業として社会実装に向けた挑戦をスタートさせます。
エネルギーソリューション事業を事業化することとなった経緯を教えてください。
NGK株式会社 NV推進本部 CN事業開発 エネルギーソリューション部長 岡田 浩一(以下、岡田):NGKはこれまで、自治体や電力会社と協働し、エネルギーの地産地消をめざす地域新電力である「恵那電力(岐阜県)※1」、「あばしり電力(北海道)※2」の設立を主導し、再エネの地産地消、地域のレジリエンス強化、電力を起点とした域内経済循環などのテーマに、NGKとして何ができるかを模索してきた経緯があります。その取り組みのなかで見えてきたのは、自治体や地域のプレイヤーが、カーボンニュートラルに取り組む必要性は理解しているものの、まず「何をすればいいのか分からない」という状況にあったということです。
他のケースでは、地方自治体が計画自体は策定したものの、それが必ずしも実行段階まで結びつかず頓挫してしまう例も少なくありませんでした。担当者に寄り添うなかで、制度や市場環境が変化し続ける状況では、当初に描いた計画だけでは不測の事態に対応しきれず、また計画から実施、運用に至るまでを長期にわたり継続的に伴走し、意思決定を支える主体が存在しないことが、取り組みが前に進まない大きな要因であるという課題が次第に明らかになってきました。
例えば補助金の活用を考えても、その取得方法が分からない、あるいは資金をどのように調達すればよいのか分からないといった、資金繰りの段階で立ち止まってしまうケースもあります。さらに、基本計画を策定した後も、設計や施工を担う事業者の選定、運用体制の構築、蓄電池の制御やメンテナンスといった実務面での課題に、自治体だけでは対応しきれない場面が多く見られます。こういった状況は、自治体だけに限ったことではなく、企業のケースでも見られることです。
このように、計画から実行、運用に至るまでの各段階で課題が分断された状態で存在しており、それを長期的な視野で横断的に意思決定していくための支援体制の不足が、カーボンニュートラルが進まない要因にもなっていると思います。こうした現状を踏まえ、単に再エネの発電設備や蓄電池を提供するだけではなく、計画策定から資金計画、設計、施工、運用までをワンストップで支援し、継続的に伴走支援できるソリューションパートナーという役割を担っていく必要があると考えています。