現実と向き合いながら解を探る、
新たなる挑戦。(3/3)
NR-Power Lab ――ラボとして歩んだ3年間の成果とともに
NR-Power Lab株式会社 代表取締役社長 中西 祐一 , 取締役 兼 事業開発部長 原田 忠克
得られた視座や学びを土台として社会課題に向き合う
この3年間で取り組んできた研究開発の成果について教えてください。
原田:VPPシステムの構築に置いては、協業パートナーのSassor社とともに、マルチリソース・マルチユースという当初掲げた方向性の開発を進めることができ、複数メーカーの蓄電池を遠隔制御できるVPPのベースシステムを開発できたことが大きな成果です。親会社がNAS電池メーカーでありながら、他メーカーの蓄電池をエネルギーリソースとして開発し、システム構築ができたことが何よりの成果です。
VPPサービスの実用化に向けた実証においては、低圧需要家様での実証から、高圧のお客様、特別高圧のお客様先での実証まで、幅広く取り組むことで異なる課題の抽出や実際の運用に即した課題発掘、経済性検証を行うことができ、2026年度以降に実用化できるレベルまでの基礎検証ができました。実際のお客様の敷地をお借りし、蓄電池を追加設置して、外部からその蓄電池を遠隔から制御するなど、お客様のご協力がなければ実現しなかった実機検証を実践できたことは、宝物にも値する成果だと感じます。
電力デジタルサービスは、再生可能エネルギーの地産地消を“見える化”するサービスを第一弾として、いち早く実機検証を開始できました。見えない電気を“見える化“することは、特に自治体様の学校教育の現場に、大きな期待を持って受け入れられました。再エネ・脱炭素を子供たちがもっと理解できるように、身近な効果に結び付ける教育教材として実践できました。そのような意識改革を促すことを大きな目標として取り組み、最終年の段階にきてさまざまなお客様のニーズがあることを体感できたことは最大の成果です。
この3年間の実践で得た経験や知見を踏まえた、今後の展望をお聞かせください。
中西:あらためて振り返りますと、特に電力というテーマにおいては、技術単体では価値を提供できず、制度や経済性、さらには地域の文脈と結びついて初めて機能するという点を、強く認識しました。エネルギーの地産地消を実現するためには、その地域で正統性を持つプレーヤーを通じて社会に価値を届けるスキームが必要です。そのためには机上での検討にとどまらず、実際に現場へ足を運ぶことが不可欠であることを、実証と共創のプロセスを通じて実感しました。
この点は非常に重要だと考えています。今後、NGKとリコーは、それぞれの立場でNR-Power Labで開発した技術を展開していくことになりますが、ここで得た視座や学びは、社会課題に向き合う際の共通の土台として活用されていくはずです。NR-Power Labとしての試行錯誤は一区切りとなりますが、現実と向き合いながら解を探る姿勢そのものは、両社の中で形を変えつつ、次の取り組みに確実に引き継がれていくと考えています。
これまでの3年間、社会実装に向けて一緒に研究開発に取り組んでいただいた協創パートナーの皆さまや、全国で連携していただいた地域新電力、自治体の皆さま、さまざまなかたちでご尽力いただいた皆さまへ感謝いたしますとともに、今後も私たち両社の新たな挑戦、将来に課題を先送りしない取り組みに垣根なく参画していただき、再エネ拡大の課題に具体策を導くためのコラボレーションができればと思っています。