子どもたちが身近に感じられる
地域のエネルギーポテンシャル。(4/4)
山形県長井市の全小中学校で、再エネの見える化システムの実証を開始。
長井市総合政策課 再生可能エネルギー推進室 主査 斯波 優美子, 係長 渡邉 脩太 / おきたま新電力株式会社 専務取締役 江口忠博 / NR-Power Lab株式会社 シニアエンジニア 兼 事業企画担当 尾前 秀樹, 開発チームリーダー 上山 凌
地域性が反映された再エネ導入の促進に向けて。
今後の展開などを教えてください。
長井市 斯波:再エネの見える化システムについては、小中学校に続いて市民が多く利用する公共施設でも導入を検討したいと思っています。あわせて民間事業者での導入も推進したいですね。例えば企業のホームページに、今回のような再エネ利用率や電力の地産地消などの数値を表示すれば、地域貢献のPRにもなるのではないでしょうか。
一方、市として再エネに関する正しい情報を提供することも重要と考えています。再エネ設備は本当に環境に良いのか、具体的に2030年カーボンハーフを達成するため、市民一人あたりのCO2削減量やその取るべき行動とは何かなど情報提供に努めていきます。令和6年度は、市が策定した今後10年間を計画期間とする「環境基本計画」がスタートする年度でもあるため、広報活動、地域の人材育成にも力を入れる必要があると思っています。
おきたま新電力 江口:今回の再エネの見える化システムをきかっけとして、さらに再エネの地産地消の現状を知っていただく取り組みは重要だと考えています。地域にとって必要な再エネとは何か、地域のエネルギーポテンシャルとは何かを考えてもらうことによって、エネルギー資源の賦存量を知るきっかけとなり、地域性が反映された再エネ導入の促進が図られると考えます。
私たち地域新電力は、域内経済自立の循環が回り出すことで、資本の強化に繋がり、システムへの投資の他、地元企業ならではの地域循環型のサービス提供などができるようになります。現在、行政施設と連携したPPA事業なども協議中で、今後も再エネの地産地消の拡大を進めていきたいと思います。
NR-Power Lab 上山::私たちは、今後の事業化に向けて、多くの利用者の痒いところに手が届くようなシステムにアップデートしていきたいと考えています。課題として、見える化システムは一定期間が経過し、変化がなければ飽きられてしまうことも考えられます。単に数値的な再エネの見える化だけでなく、地域住民にとって有用な情報提供となるよう、異業種との意見交換を進めています。
再エネの地産地消に対する理解を拡げるにあたり、今回は次世代を担う小中学校での環境教育、また学校を拠点とした、各家庭、関係者への波及効果を狙った取り組みですが、さらにシステムをブラッシュアップし、さまざまなケースで再エネの見える化を進め、地域の行動変容のきかっけとなる取り組みを進めていきたいと思っています。